ミッシェル・アンリ <野生のコクリコ> 油彩12号 2011年
ミッシェル・アンリ <野生のコクリコ> 油彩12号 2011年
ミッシェル・アンリは花をメインに描く画家でビュッフェ、ブラジリエなどと共に20世紀フランス画壇を代表する画家です。絵画から幸福感感じられるので、フランスでは幸福の画家、ポピーを多く描くのでアメリカではポピーの王様と呼ばれています。透明感のある色彩は、宝石に例えられます。赤はルビーの色、ブルーはサワイアの色、緑はエメラルドの色、深みのあるブラウンはトパーズの色言われます。ミッシェル・アンリの絵画はパリ市近代美術館、スエーデン王室、モナコ公国、サウジアラビ王室等が収蔵しています。ギャルリー亜出果は1995年以来ミッシェル・アンリの日本総代理店として日本各地の有名百貨店、画廊でミッシェル・アンリ来日展を企画し、ミッシェル・アンリの作家自筆サイン入りオリジナル版画の制作、絵画版画の販売、著作権の管理をしています。
パリとロワール川の間のGATINAIS自然公園にコクリコ=ポピーが咲き乱れている。ミッシェル・アンリはコクリコをテーマに多くの絵を描いた。ミッシェル・アンリは、コクリコの透明感のある色と形状と儚さを愛した。彼の生涯の伴侶ともいえる運命的な花だ。通常は、背景にパリ、ベニス、原野、海などを配して、咲き誇るコクリコのブーケを前景に大きく描いている。この絵は少し趣が違う。風景の中のコクリコ群を中心に描いているのだ。パリ市内の日常から離れて自然公園を散策し、新鮮な空気と広がる自然に触れた時、自分の生涯の友、愛してやまない運命の花コクリコの原野が目に飛び込んできたのだ。人知れず咲きほこっている原野のコクリコ群に感動して、その魅力を表現したいと思ったのだろう。
前景に赤いコクリコの無数の花弁が描かれている。視線の近くにあって、オレンジやオレンジ色に近い新鮮なバーミリオンで描かれている花弁、茎の間にあって形状も色彩も掠れている花弁もある。すこし遠くの花弁は幾つもの花弁が色の塊としてピンク色に近い赤で描かれている。コクリコのブーケを描く時と同じようは、赤系統の色彩のバリエーションと遠近法が使われている。見ているうちに、前景一杯に散り広げられた、ブーケから解放された美しいコクリコの花弁達が、立体的な空間の中で、乱舞していると感じる。コクリコの原野が尽きた辺に、白い花弁が左右に帯状に沢山の白い点として描かれ、コクリコの点在する赤い花弁群をより鮮明に見せている。その向こうには、緑の原野とブルー・ピンクの空が広がっている。原野で自由に乱舞するコクリコの花弁とクリスタルな花瓶に生けられたコクリコの花弁もミッシェル・アンリがその魅力を引き出し見事に表現している。