ミッシェル・アンリ 【セーヌ川の百日草】 油彩20号F【額付】
ミッシェル・アンリ 【セーヌ川の百日草】 油彩20号F【額付】
1990年以前にミッシェル・アンリが描いた作品で画集ミッシェル・アンリの収録掲載されています
ミッシェル・アンリは花をメインに描く画家でビュッフェ、ブラジリエなどと共に20世紀フランス画壇を代表する画家です。絵画から幸福感感じられるので、フランスでは幸福の画家、ポピーを多く描くのでアメリカではポピーの王様と呼ばれています。透明感のある色彩は、宝石に例えられます。赤はルビーの色、ブルーはサワイアの色、緑はエメラルドの色、深みのあるブラウンはトパーズの色言われます。ミッシェル・アンリの絵画はパリ市近代美術館、スエーデン王室、モナコ公国、サウジアラビ王室等が収蔵しています。ギャルリー亜出果は1995年以来ミッシェル・アンリの日本総代理店として日本各地の有名百貨店、画廊でミッシェル・アンリ来日展を企画し、ミッシェル・アンリの作家自筆サイン入りオリジナル版画の制作、絵画版画の販売、著作権の管理をしています。
作品解説
この絵は2点透視図法という遠近法を使っている。絵の前景の百日草を起点としてキャンバス左上とキャンバス右上の方に消失点が向かっている。その遠近法も、ノートルダム寺院を含みながらぼんやりと描かれたパリの遠景に向かって途中で止まっている。かなり複雑な構図の絵だ。
この絵に描かれているパリの建物と橋を特定してみよう。手前の百日草のブーケの陰に隠れている部分は、シテ島の西の端だ。ここでセーヌ河がシテ島の右と左に分かれている。画面左に大きく描かれている水面はシテ島と右岸の間のセーヌ河だ。百日草の陰辺りでシテ島によって2分された、セーヌ河のもう一方の左岸よりの水面が、百日草の上あたりから、小さな流れとして水色で描かれている。遠景中央やや左にノートルダム大聖堂正面の1対の高窓が描かれている。ノートルダム大聖堂の左のドーム屋根は、シテ島と橋でつながっているサンルイ島の商業裁判所のドーム屋根だろう。。橋は手前から、パリボザール(国立高等美術学校)とルーブル美術館をつなぐポン・デザール、その向こうの橋はポン・ヌッフ、その向こうがシャンジュ橋だ。ポン・ヌッフの手前のドーム屋根はフランス学士院(institute francais)のドーム屋根と思われる。フランス学士院はセーヌ河の左岸に位置するが、この位置から見るとシテ島の一部のようにドーム形の屋根のみが望見される。
シテ島によって左右に分かれたセーヌ河をどちらも、キャンバスに収める為に2点透視法という扱いの難しい遠近法で描き、見事に成功している。百日草の花弁は、ローズ色からバイオレットで描かれている。ローズ色とバイオレットは赤と青の中間色で、ブルー系統が支配している風景の色に馴染みやすい。ミッシェル・アンリは花と風景を対峙させて、花の美しさを目立たせる事が多いが、この絵では珍しく、花を風景の一部のように控え目な色彩で描いている。それ程、この風景に魅せられていたのだろう。
ギャルリー亜出果 武田康弘