コレクション: ザオ・ウーキー

Zao Wou-Ki は1921年、Beijing に生まれました。宋代にまで遡る由緒ある家系に育ち、幼少期から中国伝統文化に深く親しみます。書道教育を早くから受けたことは、後年の彼の絵画表現に大きな影響を与えました。

1935年、杭州の国立芸術専科学校(現・中国美術学院)に入学し、中国絵画と西洋絵画の双方を学びます。そこでは宋代絵画の精神に加え、デッサンや油彩、遠近法などヨーロッパ絵画の技法も習得しました。東洋と西洋、二つの美術文化を同時に吸収した経験は、後の独自の芸術世界の基盤となります。

1948年、27歳でフランスへ渡り、Paris・モンパルナスに居を構えます。戦後パリの前衛芸術に触れるなかで、Paul Klee や抽象絵画の動向から刺激を受け、次第に具象表現から離れ、独自の抽象世界へと歩みを進めました。

1950年代以降、ザオ・ウーキーは、光、空間、気配、そして自然のエネルギーを感じさせる抒情的抽象へ到達します。その画面には中国書道を思わせる筆勢が流れていますが、単なる東洋趣味ではなく、西洋抽象絵画と高度に融合した独自の造形言語が確立されています。

油彩、版画、水墨など幅広い技法に取り組みながら、彼は一貫して「空間の呼吸」を描こうとしました。色彩は風景を再現するためではなく、見る者の感覚や内面的な記憶を呼び起こすために用いられています。

1964年にはフランス国籍を取得し、2002年にはフランス芸術アカデミー会員に選出されました。

2013年、スイス・ニヨンにて逝去。遺体はMontparnasse Cemetery に埋葬されています。

Zao Wou-Ki は、中国絵画の精神性と20世紀西洋抽象絵画を高い次元で融合した画家として、戦後美術を代表する存在のひとりです。その作品は今日も世界中で高く評価され続けています。