ギャルリー亜出果
草間彌生 煌めくかぼちゃ 2016
草間彌生 煌めくかぼちゃ 2016
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FRP(繊維強化プラスチック)&タイル 146.1 × 142.2 × 134.6 cm
この《Starry Pumpkin, 2016》は、草間彌生の代表的モチーフであるかぼちゃを、より“宇宙的”“きらめく”方向へ展開した立体作品
草間にとって、かぼちゃは単なる可愛い形ではなく、子どもの頃から心のよりどころだった特別な存在です。草間のかぼちゃが幼少期の記憶に根ざし、彼女にとって、謙虚でユーモラスな存在であり、しばしば自画像の代わりとして現れるとの受け取り方もあります。つまり、この作品のかぼちゃは静物というより、草間自身の感情や存在感を受け止める“器”として見ると理解しやすいです
この作品名の「Starry」は、「星のようにきらめく」「宇宙を思わせる」という方向の印象を強めています。草間作品では反復する点やパターンが重要ですが、草間が反復する小さな筆致や点を通して、“無限の宇宙”をイメージしたと考えると、《Starry Pumpkin》は、かぼちゃという親密で有機的な形に、宇宙的な無限感覚を重ねた作品です。
水玉ではなく「タイル」であることの面白さ
この作品の素材がタイルである点はとても重要です。草間の代表作には黒い水玉のかぼちゃが多いですが、《Starry Pumpkin》では、表面がより光を反射し、粒子が集まって像をつくるような感覚を生みます。つまり、ここでは水玉がそのまま描かれているというより、星の粒・光の集合・モザイク的な皮膚として変換されているように読めます。題名と素材の組み合わせが、この作品を“かわいいかぼちゃ”ではなく、発光する宇宙体のような存在へ押し上げています。
草間の水玉について、宇宙と関連つけるなら、一つ一つの個をより大きな宇宙の要素としてへ溶け込ませる形が水玉であれが、《Starry Pumpkin》でも、私たちは「かぼちゃの表面模様」を見ているだけではなく、ひとつの生命体が宇宙へ開いていく感覚を見ている、と言えます。草間作品にしばしばある“増殖”“反復”“果てしなさ”が、この立体にもちゃんと宿っています。
この作品は高さ約146cmあるので、絵画のように正面から一度に見るより、身体で周囲を回りながら見るのが向いています。丸みのあるフォルム、稜線のうねり、タイルの反射、表面のリズムが、見る角度ごとに変わるからです。M+ も草間のかぼちゃについて、どれも同じ記号ではなく、一つひとつ形や性格が異なる存在だと紹介しています。つまりこの作品は、「草間の定番モチーフ」ではあっても、量産的な反復ではなく、固有の個性をもった一体として見るのが大切です。
《Starry Pumpkin, 2016》は、草間彌生の“かぼちゃ”という親密な自己像に、星・無限・宇宙のイメージを重ねた作品です。柔らかく親しみやすい形なのに、見ているうちにスケール感覚がずれ、個人の感情から宇宙的な広がりへ連れていかれる。その**「可愛さ」と「果てしなさ」の同居**こそが、この作品の魅力だと思います
