レイモン・ペイネは20世紀フランスで最も人気の高かったイラストレーターで国民的なレベルで愛された。そのペイネの21世紀現代の人気と価値を解説しよう。
レイモン・ペイネの作品価値
1:レイモン・ペイネが制作した美術作品
レイモン・ペイネは雑誌などに作品を発表したイラストレーターなので、画家のように沢山の絵画を制作販売した訳ではない。雑誌用にイラストを制作したり、ポスターを制作してその原画を、インクや水彩、不透明水彩などで描いた。私の知る限り、油彩画は見た事がない。そのペイネが1978年に星座12宮のエッチングと1985年にリトグラフを40種類程と1990年代にやはりリトグラフを数種類制作して、オリジナル版画の証明として自身で鉛筆サインを入れた。つまり、レイモン・ペイネが残した作品で美術品としての価値があるのは、原画と作家自筆サイン入りのオリジナル版画(エッチングとリトグラフ)のみとなる。ポスターなども希少価値は、あるかもしれない。
2:レイモン・ペイネは20世紀フランスで最も人気の高いイラストレーターだった
レイモン・ペイネは1908年に生まれて、1999年にニース近郊で他界した。
美術系の学校卒業後広告デザイン業界で働き、28歳の時フランスの英字新聞にイラストを描いて注目され、種々の雑誌等にイラストを描き、44歳の時雑誌に恋人達のイラストを発表連載して、ペイネの恋人達は一躍脚光を浴びた。その後、ペイネの恋人達の人気が高まるにつれて、玩具会社がペイネの人形シリーズを、食器会社がペイネの恋人達の食器(現在もドイツのローゼンタール社はペイネの食器シリーズを生産販売をしている)などを販売し、レイモン・ペイネはフランスで最も有名なイラストレーターとなり、レイモン・ペイネとその恋人達は国民的レベルの知名度を得た。戦後日本は漫画大国になり、様々なスター漫画家が誕生したが、レイモン・ペイネはフランスでは突出して有名なイラストレーターとなった。つまり、レイモン・ペイネの恋人達は、鉄腕アトム、アンパンマンとドラエモンを合わせた位の人気があった。
3:レイモン・ペイネ美術館とファン<レイモン・ペイネの美術館やテーマパークは幾つもある。>
①日本の軽井沢にはレイモン・ペイネ美術館がある。軽井沢は日本一の高級別荘地だが、軽井沢の人気スポットのタリアセン(文化的総合公園>の中にペイネ美術館があり軽井沢の重要な観光資源となっている。
②南フランスのコードダジュールのアンチーブ市にもレイモン・ペイネとユーモラな作家美術館がある。隣接するピカソ美術館と共に、アンチーブ市が経営していてアンチーブ市とコートダジュールの重要な観光資源となっている。最近、レイモン・ペイネは日本以外のアジアの国でも人気が出ていて、中国や韓国からの観光客も訪れている。韓国で大々的なレイモン・ペイネ展が開催されたり、中国でレイモン・ペイネの人形が生産販売されている。アンチーブのレイモン・ペイネとユーモラスな作家美術館のグジョン館長が述べている。
③岡山県美作市にはレレイモン・ペイネのテーマパークがある。名前は作東バレンタインパークとなっていて、その中にある作東美術館はペイネの絵の美術館だ。公園の愛の泉にはペイネの恋人達の像が置かれている。又、バレンタインホテルという結婚式場のあるホテルも隣接し建てられている。
④サン・バレンタイン(St.Valentine)市はサン・バレンタインは愛の天使で恋人達の守護天使の名前ので、恋人達の愛をテーマに町作りをしている。レイモン・ペイネテーマ館があり、日本の作東バレンタインパークのある美作市と姉妹都市になっていて。ペイネの絵画、グッズを集まてレイモン・ペイネテーマ館がある。
レイモン・ペイネテーマ館の内部写真
サン・バレンタイン市発行のペイネの結婚証明書↓
この封筒に使用されている絵のオリジナルリトグラフ版画は日本のギャルリー亜出果が新品を収蔵して発売している↓
⑤広島平和公園のは原爆ドームを中心とした平和を祈念する公園だがその一角のレイモン・ペイネの恋人達の像が飾れていて<愛と平和のモニュメント>と名付けられている。
愛と平和のモニュメント↓
⑥フランスのサンブリアックはレイモン・ペイネの母親の故郷で、ここにもレイモン・ペイネ美術館がある。
サンブリアックのペイネ美術館↓
⑦フランスのヴァランス市(Valence)にはペイネの野外音楽堂美術館(Musee Kiosque Peynet)がある。レイモン・ペイネが44歳の時ヴァランス市の野外音楽堂見てペイネの恋人達のインスピレーションを得て、野外音楽堂の恋人達を描いた事で、バランス市はペイネの恋人達の発祥の地とされている。
ペイネ野外音楽堂美術館↓
⑧ モナコ王国のグレース・ケリー王女がレイモン・ペイネの大ファンで、ペイネの恋人達の人形をすべて収蔵している。
4:レイモン・ペイネの絵の人気が高まっている
私は1980年代後半にフランス絵画の輸入を始めた。当時はバブル経済に向かう時期で、フランス画家としては、ビュッフェ、ブラジリエ、カシニョール、カトラン、ジャンセンが日本のフランス絵画マーケットの人気スターで高く売られていた。それ以外にも10人程のフランス作家が人気があった。レイモン・ペイネの版画も日本に入っていて、人気があったが、ビュッフェやブラジリエの版画は50万円以上に対して、ペイネは20万円以下だった。
現在は、上記の画家でビュッフェ以外は随分値下がりしてインタネットなどで数万円で売られている。もちろん、レイモン・ペイネも同じヤフーオークションなどでも数万円で販売されているのを見かける。ビュッフェは他界したが、パリのビュッフェ専門の画廊モーリス・ガルニエはまだ営業を続けてビュッフェの価値を再生産しているのと、各種の出版物に掲載されているのでフランスでの価格を維持している。他の画家はもう新作も出ず画廊が扱わないので、中古品がインターネットで投げ売りされている。現状では、30年~40年前の高額画家の中古品とレイモン・ペイネの中古品は大体同じ位の価格になった。元高額画家の絵画はその内、誰の関心も集めなくなるだろう。つまり、彼らの作品の価格は限りなくゼロに近づく。レイモン・ペイネは逆に価値が高まっている。
5:現在レイモン・ペイネの作品が価値を高める理由
理由1:今中国人と韓国人でレイモン・ペイネの人気が高まっている。従来ペイネはフランスを中心にヨーロッパ、アメリカと日本で人気が高かったが、その人気が中国と韓国に広がっている。韓国ででレイモン・ペイネの大規模な展示会が開催されたり、中国人が中国でペイネの人形を制作販売している。アンチーブのレイモン・ペイネとユーモラスな作家美術館にも、20世紀にフランスで制作販売されたペイネの人形とならんで中国製の人形も展示されていた。フランス製の人形は、フランスの人形メーカーが20世紀に大量生産して販売したが、全て散逸して美術館がその全てを入手できないため、現在入手できる中国製の人形も展示している。モナコ公国がフランス製の全種類のペイネ人形を収集しているので、美術館が譲りうけたいのだがモナコ公国は売りたがらない。20世紀にはレイモン・ペイネのマーケットはフランス始めヨーロッパ、アメリカ、日本だったが、21世紀に入って中国や韓国にもペイネのファン購買層が拡大されつつある。
理由2:現代ではレイモン・ペイネのオリジナル版画は美術品として価値が認められている。1980年代と現代ではイラストや漫画に対する価値観が大きく異なる。1980年代は漫画やアニメ(ペイネの恋人達も漫画であって芸術ではではないと考えられていた)は、低級な物で芸術作品とは認められなかった。21世紀の現在は漫画、アニメは大人気で漫画は出版社のドル箱だし、宮崎駿などのアニメ映画監督が偉大な芸術家の仲間入りをしている。日本の漫画家の池田理恵子や谷口ジローがフランス政府から勲章をもらったりする時代だ。21世紀にはいって、漫画の主人公(アンパンマン、どらえもん、松本零士の銀河鉄道の人物、千葉てつやの矢吹ジョーなど)の限定部数の版画を制作して、漫画家にサインしてもらいったり、スタンプサインや刷り込みサインをして数十万円で百貨店の美術画廊やイベント会場で販売している。つまり、彼らの登場人物を版画にした作品が、1980年代のフランス人気作家のオリジナル版画並みの価格で販売されている。レイモン・ペイネの新品の作家自筆サイン入り限定部数のオリジナル版画のほうが、日本の漫画家の主人公を、業者が限定部数で制作した版画より価値があるのは確かだ。そういった漫画芸術ブームにも押し上げられて、20世紀に価値の低い漫画のオリジナル版画と思われたいたレイモン・ペイネの版画は美術品として美術市場の再登場している。
6:新品と中古品の違い
ギャルリー亜出果が販売しているレイモン・ペイネのオリジナル版画(エッチングとリトグラフ)は中古品ではなく二―スの版元発売元から直接購入した新品の作品だ。冒頭でも触れたが、1980年代に高額で販売された人気作家のオリジナル版画が、ヤフーオークションなどで、数万円で売られている。レイモン・ペイネのオリジナル版画も同じ位の価格で販売されていが、これらは、中古品と思われる。
インターネットなどで売り出されている中古作品が本物か偽物かは、見分けが難しい。。復刻版画(作家が制作したオリジナルない版画つまり本物ではない版画)も出回っている。オリジナル作品は作家のサイン入りが原則だが、スタンプサイン(サインを真似た判子を押している)や刷り込みサイン(サインも版画と一緒に印刷している)のものもあり、これらは本物としての価値は無い。オフセット印刷に額を付けて売っているものも見かける事がある。ペイネは世界的に人気が高いので、そのような印刷された絵が出回るのは当然だ。価値はなくても、ペイネの絵を飾りたい人達が沢山いるのだから、そららの印刷の絵が沢山流通する事は歓迎すべきであろう。
それらの印刷物は楽しむ為に良いが、美術品の価値はない。弊社が販売しているレイモン・ペイネのオリジナル版画(リトグラフとエッチング)は全て版元ミュレ氏から直接購入した新品作品であり、作家の自筆サインと限定部数が記されている。つまり、オリジナル作品しての価値が保証されている。
価値ある絵画がオークションなどで販売される場合は、その作品の出元が重要視される。つまりその作品誰から買ったかの経路を明記する事になっていて、出元が不明な場合は価値が下がったり贋作の疑いが浮上する。確かにバッグ、宝石、衣類などでも中古品は安く購入できるが、他人が使用した品を見に付けるのに抵抗がある人は、高くても新品を買う。美術品の場合価値ある本物を購入したい場合は、ヤフーオークションやインタネットの中古品はやめた方が良い。
レイモン・ペイネオリジナル版画のフランスでの発売元のアレクサンダートカール氏とギャルリー亜出果武田康弘夫妻と画家のジョルジュ・モナン氏 パリのモナン氏宅にて↓
弊社(ギャルリー亜出果)が販売するレイモン・ペイネのオリジナル版画は、レイモン・ペイネと共同で版画を制作したミュレ氏からミュレ氏の甥でミュレ氏の版画の販売元のエディションデセルクルのアレクサンドルトカール氏を通じて直接購入した正真正銘の新作で新品であり価値が高い。
レイモン・ペイネオリジナル版画のフランスでの発売元エディションデセルクルのアレクサンダートカール氏夫妻と武田康弘夫妻 モンペリエにて↓
レイモン・ペイネの絵をご自宅やオフィスなどに飾って、恋人達と愛らしい森の動植物達が織りなす自然と共に生きる愛と平和の世界を身近に感じたい方は、私が説明した違いを認識して、ご自身にあった選択をされる事をお勧めしたい。
私は1980年代から現在までの、日本の絵画マーケットの商人であると同時に証人でもある。時代の証人の私から見た、レイモン・ペイネの絵の価値と日本の絵画市場につていフランス作家を中心に解説した。
私(ギャルリー亜出果 武田康弘)は、1986年に会社創立して35年の間フランス美術(20世紀~21世紀の画家の作品)を日本に輸入して販売している。若い頃南フランスとパリで6年間学生生活をして、ルネッサンスから現代までフランス美術には親しんでいる。
三越、大丸、伊勢丹、東武、東急などの有名百貨店の画廊やイベント会場と軽井沢プリンスホテル、高輪プリンスホテル、サンシャインのフランス商工会議所展示場にも直売のギャラリーを運営した。
絵画業界が縮小し、特にヨーロっパ(主にフランス)からの絵画輸入会社が減少して、2015年~2016年にも数社が閉業して、弊社に画廊や百貨店業者、通販業者からの要望が寄せられ、それに応える形で小売業中心から卸売業がメインになった。
上記の私の経歴と経験から私は日本の絵画マーケット、特にフランス絵画マーケットの商人であると同時に時代の証人でも事もご理解いただけると思う。