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赤い色彩の価値を変えたフランス絵画巨匠画家ミッシェル・アンリ

赤に赤を重ねてこのような美しい絵を描く画家を見たことがない。ルネッサンス美術からバロック絵画(この辺りまで、イタリアやオランダがスペインが中心)ロココ時代(ここからフランス絵画の時代が始まる)、象徴派、印象派そして20世紀のエコールドパリの画家の誰も試みなかった冒険をミッシェル・アンリは成し遂げた。

 ミッシェル・アンリ <5本のバラ> オリジナルリトグラフ版画 

色価(=Valeurフランス語)という言葉は、耳慣れない言葉かもしれないが、画家や私達のように絵画を扱う者にとっては珍しい言葉ではない。色価<=Valuerフランス語>について説明しておこう。物質は光を反射して、その光が眼の網膜入り網膜の機能によって色や形の情報を脳に送り脳が色彩や形を認識する。つまり、色は物質(対象物)、光、眼、と脳みその相関関係で成り立っている。

(そのメカニスムは、布施英利氏(美術評論家)著書<脳の中の美術館:千曲学芸文庫)に分かりやすく説明されている。 余談だが、私は布施さんと二人で<日本人に愛されたフランス絵画>の題で二人で講演した事があるが、思考力が優れた人だ。)

布施英利と脳の中の美術館↓

布施英利美術評論家布施英利の脳の中の美術館 

絵画は、現実の世界の対象物(風景、静物、人物など)と光、眼、脳の間で発生する複雑な関係をキャンバス上に表現されたものだ。もちろん、その描かれた絵画もまた、対象物でその複雑な相関関係で認識されるが、その問題はここでは触れない。

 

つまり、絵画は現実の世界の対象物の色彩を忠実に表現する事より、それがどの様に人間の眼に映るかを計算して、そのためにはどの色をどこに置くか、その色と他の色との相関関係の中で置く色を決める事になる。色価とは、大雑把にいえば、色彩間の相関関係の事だ。明確に一覧表があって規定されているわけではないので、それぞれの作家の判断でそれを決めるが、白は最も明るい色価であり、黒や茶色は暗い色価に分類される。

 

では、ミッシェル・アンリの赤に戻ろう。

 

ミッシェル・アンリはボザール(国立パリ高等美術学校)で2人の先生についた。

ボザールの正門↓ セーヌ川の岸辺

初級クラスでナルボンヌ、本科でシャプラン・ミディだ。ナルボンヌはデッサンの教授で、シャプラン・ミディは色彩の大家だった。ナルボンヌのクラスでは、ビュッフェも同じクラスにいたが、彼は中退した。ビュッフェは色彩を学ぶ事なく、シンプルなデッサンの魅力だけで描き続けた。

ボザールの建物 セーヌ川の岸辺 ↓

 Palais des etudes ensba paris 003.jpg

ミッシェル・アンリはシャプラン・ミディから色彩力をたたき込まれた。ある時、シャプラン・ミディは、ミッシェル・アンリが赤を明るい色彩とし使用して絵画を成功させているのを見て、ミッシェル・アンリは私を越えたと言った。従来の色彩論では赤は暗い色彩に分類されるが、ミッシェル・アンリは赤を基調に明るく輝く絵画を描いたのだ。

 

ミッシェル・アンリは30種類もの赤系統の絵具を使う、フランス製、イタリア製、オランダ製、アメリカ製、ドイツ製で微妙に色彩が異なる赤を使い分けるのだ。

 

赤を明るく輝く色彩と使用して、赤に赤を塗り重ねてた、美しい作品が見て欲しい。

  ミッシェル・アンリ 赤いシンフォニー 油彩画50号

この赤いシンフォニー原題<coqulicots en fete=コクリコの祝い>は、赤いコクリコのブーケが赤い背景に描かれ、強烈な赤い色彩が輝いている。この作品は、フランスのUnivers des arts 誌2000年夏号に掲載されているが、ミッシェル・アンリはその作品について、

Crees ,c’est metamorphoser vos imporessions en signes,en couleurs,en y melant son ame=創造するという事は、印象をある種のサインと色彩に抽象化して、そのに自分の魂を混入させる事だ。>と書いている。ミッシェル・アンリは現実世界を愛するので、具象画の世界にとどまっているが、私にはこの絵画は色彩の組み合わせの実験が大成功した抽象画に見えてしまう

 

以下は上記のUnivers des arts 誌の引用だ。

彼(ミッシェル・アンリ)は戦後にBeaux-arts(パリ国立高等美術学校)卒業後、画家Crubert達(ビュッフェ、ジャンセン、ドラギャールなど)のMiserabilisme(悲惨主義)に背を向けて、「なぜ、幸福である事を恥じる必要あるのだろうか?」微笑えむ。彼の絵画的な冒険のテーマは<幸福と共感>である。彼の旗印は、色彩と生命に溢れた輝く花々である。カザ・ベラスケス(マドリッドのカザ・ベラスケスにミッシェル・アンリは奨学生として留学した)で、彼その素晴らしいブーケを配置する大きな構図を身につけた事は確かだ。ミッシェル・アンリの静物画は優しく生きる為のレッスンである。あらゆる絵具と技術を使って、妥協なき情熱で花の生命力を描きだす事に集中し、赤が炸裂する。ルビー色の激しい乱舞、真っ赤なvermillion(赤絵具)が、後景の世界で最も美しい街々の魅力さえ霞ませて、花々の生命力を謳いあげる。この素晴らしい自然の讃歌は、パリやベニスなどを画布の後景に押しやり、人間の造形はこのコクリコの魅力にも及ばない事を思い出させる。

 

美は、シンプルに、豊かな表現で、最も儚く私達の身近に存在する。ミッシェル・アンリは、かくも美しく、壊れやすく、儚く、私達を数時間の間だけ美の陶酔導き、クリスタルの花瓶の中で散ってしまうコクリコに熱狂しているのだ。ミッシェル・アンリの画布の向こうを覗けは、そこに甘く優しい苦味を感じるかもしれなし。彼の描くコクリコやバラから詩人Ronsardnoの幾行がエコーしているようだ。

 

乙女よ、私を信じるだろうか?お前の若さが、その新緑の新鮮さで花咲いている間に、若さを楽しむのだ。やがて、花にも老いがくるように、お前の美しさも失われる。

ユニヴェール・セ・ザール誌のコピー↓

 フランスの雑誌 ユニヴェール・デ・ザール誌に掲載されたミッシェル・アンリの記事と画像

 

私は、(ギャルリー亜出果)は20世紀が生んだこの天才的な画家と20年以上仕事を共にし、現在の彼の作品を扱い続けているが、その絵画の秘密を新ためて発見し続けている。