ギャルリー亜出果
三枝浩子 生命体
三枝浩子 生命体
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サイズ : F20 (28.6 × 23.9 インチ/ 72.7 × 60.6 cm)
制作年 : 2026 年
素材 : アクリルガッシュ、 ワニス、 キャンバス
《生命体》 三枝浩子 作品解説
深い黒の地の中央に、金色の絵具が力強く渦を巻きながら一つの大きな環(リング)を形作る一作です。作家自身の言葉にあるように、この金色の輪は生と再生を繰り返す生命の循環そのものを視覚化した象徴的なモチーフとなっています。
構図とマチエール 画面の中心には、時計回りに旋回するような金色の飛沫と滴りが幾重にも重なり、渦巻き状の環を描き出しています。放射状に広がる細い線と、要所に配された粒状の盛り上がりが、単なる幾何学的な円ではなく、呼吸し脈動する有機的な形態としての生命の輪を感じさせます。周縁部から中心へ、あるいは中心から外へと視線が自然に導かれる構成は、始まりも終わりもない円環運動――すなわち生命の永続的なサイクルを暗示しているように見えます。
色彩の対比 漆黒の背景は静寂と深淵を、そして所々にわずかに覗く赤の痕跡は、生命の内に秘められた熱や鼓動、あるいは痛みの記憶を思わせます。この抑制された赤の存在が、金色の輝きに単なる華やかさではなく、生と死を内包した重みを与えています。金色そのものも、均一な光沢ではなく、盛り上がりや飛び散る飛沫の中に濃淡があり、絶えず変化し続ける生命のエネルギーを表現しています。
主題性 タイトルの「生命体」が示す通り、この作品は特定の生物の姿を描くのではなく、生命という現象そのものの本質――終わりが同時に始まりでもあるという循環性――を抽象化して提示しています。闇の中で静かに、しかし確かに光を放ち続ける金色の環は、外部からの承認を必要とせず、自らのうちに再生の力を宿す生命の在り方そのものを象徴していると言えるでしょう。
黒の静寂と金の躍動が拮抗しながら一つの円環へと収斂していく構成は、混沌の中にこそ秩序と永続性が宿るという、作家の一貫したテーマを体現した作品です。
作家コメント
黒い闇の中に浮かぶ、 ひとつの黄金の輪。 それは、 終わりと始まり、 生と再生を繰り返す生命の循環を象徴する。 静寂の中で、
生命は光を放ち続ける。
