ギャルリー亜出果
三枝浩子 言葉と言葉のあいだの静寂
三枝浩子 言葉と言葉のあいだの静寂
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サイズ : F50 (45.9 × 35.8 インチ/ 116.7 × 91.0 cm)
制作年 : 2026 年
素材 : アクリルガッシュ、 ワニス、 キャンバス
《言葉と言葉のあいだの静寂》 三枝浩子 作品解説
大画面全体を深いウルトラマリンブルーが覆い尽くす、瞑想的な一作です。これまでの三枝作品に見られた激しい色彩の衝突や飛沫とは対照的に、本作は単一の色調へと収斂し、より内省的で静謐な世界を提示しています。
構図とマチエール 表面には、水平・垂直に交錯する無数の細い線と、絵具を引きずったような擦過の跡が刻まれています。艶やかなワニス仕上げが光を受けて画面のあちこちに微かな輝きを生み出し、平面でありながらまるで水面のような深い奥行きと揺らぎを感じさせます。派手なドリッピングや爆発的な飛沫ではなく、抑制された筆致の重なりが、静かに積み重なる時間の層のように画面を構成しています。
色彩の一貫性 青一色に絞り込まれた画面は、単調さではなくむしろ豊かな階調を宿しています。光の当たり方によって濃淡や質感が微妙に変化し、見る者の視点や心の状態によって表情を変える――それはまさに、言葉にならない感情が沈黙の中でなお息づき続ける様を思わせます。強く主張する色彩ではなく、静かに沁み渡るような青の深みが、対話の後に残る余韻そのものを視覚化しているといえるでしょう。
主題性 タイトルの「言葉と言葉のあいだの静寂」が示す通り、この作品は語られた言葉そのものではなく、その隙間に潜む沈黙――語られなかった感情や、心の奥に静かに広がる時間――を主題としています。抽象表現によって具体的な形象を排することで、かえって言葉を超えた感情の気配が浮かび上がり、見る者はその静けさの中に自らの内なる声を聴くことになります。
激しさを抑え、一つの色に深く沈潜することで生まれるこの静謐さは、三枝浩子のこれまでの作品群とは異なる方向性を示しながらも、内なる生命の脈動を見つめるという一貫したテーマを、より深く、より静かに探求した作品と言えます。
作家コメント
語られなかった感情は、 沈黙の中にもなお存在し続ける。 本作は、 対話のあとに残る余韻と、 人の心の奥深くに広がる静謐な
時間を探求している。 抽象表現を通して、 言葉を超えて存在する感情の静かな気配を浮かび上がらせている。
