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ギャルリー亜出果

井口エリー  Cat in Boot 15

井口エリー  Cat in Boot 15

通常価格 ¥60,000 JPY
通常価格 セール価格 ¥60,000 JPY
セール 売り切れ

11×14×12cm 水性樹脂・合成皮革

柔らかな茶白の毛並みを持つ猫が、黒いレースアップ・ハイヒールを履いて静かに腰を下ろしている《Cat in Boots》シリーズの一作である。前作までの白や黄色の靴とは異なり、本作では艶やかな黒いブーツが用いられ、作品全体に落ち着いた気品と少し大人びた雰囲気が漂っている。

猫は自由や好奇心、そして自分らしさを象徴する存在である。その無邪気な猫が、人間のファッションを象徴するハイヒールブーツを違和感なく履いている姿は、思わず微笑みを誘う。しかし、この愛らしい光景の中には、「人は装いによって変わるのか、それとも装いは本来の個性を引き立てるものなのか」という、井口エリーが一貫して問い続けるテーマが静かに込められている。

本作で印象的なのは、猫が正面ではなく少し横を向き、遠くを見つめるような視線を送っていることである。その横顔には穏やかな思索の気配が漂い、まるで新しい世界へ一歩踏み出そうとしているかのような期待や好奇心が感じられる。シリーズを通して描かれる「座る猫」という共通の姿勢の中でも、本作はとりわけ物語性を感じさせる作品となっている。

黒いハイヒールブーツは、洗練や自立、力強さを象徴する一方で、茶白の柔らかな毛並みは温もりや親しみやすさを伝えている。人工的でシャープなフォルムと、生命のぬくもりを感じさせる有機的な造形との対比は、井口エリー作品に共通する「自然と人工」「無垢と洗練」という二つの価値観を美しく調和させている。

《Cat in Boots 15》は、単なる擬人化された猫の彫刻ではない。そこには、自分らしさを失うことなく新しい装いを楽しみ、変化を恐れず未来へ踏み出す姿が象徴されている。井口エリーは、小さな猫という身近な存在に人間の感情や夢を重ね合わせることで、「個性とは飾ることで生まれるのではなく、その人らしさの上に育まれるものだ」という温かなメッセージを、ユーモアと詩情に満ちた造形によって表現している。

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