ミッシェル・アンリ <コートダジュールのミモザ> 油彩40号
ミッシェル・アンリ <コートダジュールのミモザ> 油彩40号
ミッシェル・アンリは花をメインに描く画家でビュッフェ、ブラジリエなどと共に20世紀フランス画壇を代表する画家です。絵画から幸福感感じられるので、フランスでは幸福の画家、ポピーを多く描くのでアメリカではポピーの王様と呼ばれています。透明感のある色彩は、宝石に例えられます。赤はルビーの色、ブルーはサワイアの色、緑はエメラルドの色、深みのあるブラウンはトパーズの色言われます。ミッシェル・アンリの絵画はパリ市近代美術館、スエーデン王室、モナコ公国、サウジアラビ王室等が収蔵しています。ギャルリー亜出果は1995年以来ミッシェル・アンリの日本総代理店として日本各地の有名百貨店、画廊でミッシェル・アンリ来日展を企画し、ミッシェル・アンリの作家自筆サイン入りオリジナル版画の制作、絵画版画の販売、著作権の管理をしています。
作品解説
ミモザは冬に咲く花だ。冬にコートダジュールに行くとあちこちでミモザの黄色い花が目に飛び込んでくる。濃い緑色の葉の間から、明るいレモン色のミモザがたくさん覗いていて、色彩に乏しい冬のコートダジュールに鮮やかな印象を与えている。この40号の絵はそのミモザの花と枝葉のみをクローズアップして描いている。ミモザの花の黄色は余りバリエーションがなく、大概レモンイエローだが、ミッシェル・アンリは、オレンジ色に近い山吹色、レモンイエロー、薄い緑、濃い緑で花を描き分けて、房に立体感を与えると同時に黄色のバリエーションを楽しませてくれている。黄色がこんなに溌剌とした、鮮やかで美しく輝く色彩である事を改めて発見させてくれ、黄色い色彩そのものに魅了される。キャンバスの左上部から、枝垂れているミモザの枝葉は黒に近い濃い緑で描かれ、彩度の高い鮮やかなミモザの黄色い花房をさらに鮮やかに感じさせている。ミモザの下の地面と思われる場所に、同系色の黄色いレモンを3つ描いて、構図を充実さると同時に黄色い色彩の魅力をさらに強調している。背景にはオレンジ色を置いて、枝葉の緑色、花とレモンの黄色、オレンジ色とそれぞれ隣同士の色をつなげている。色彩環では、緑色の隣が黄色、黄色の隣が、オレンジ色なので、左上の緑色から黄色いミモザの花に視線が移動して、最後にキャンバス全体を覆うオレンジ色の空間に視線が拡散される。光が右上から入って、光に近い部分のミモザ、枝葉、レモンを強烈に照らしている。キャンバスの左部分や下の部分はやや光の量が少ないのが色合いでわかる。光による色彩の変化が美しい。ミッシェル・アンリは、僅か10数cm2程の、ミモザとその枝葉の色彩と光のドラマを40号の大きなキャンバスに描きだして、楽しませてくれる。すべての色彩の中で花の色が最も美しいと、彼は言っているが、ミッシェル・アンリこそは、心から花を愛し、その魅力を最大限に引き出す天才だ。
ギャルリー亜出果 武田康弘