ギャルリー亜出果
あおきさとこ 想像の旅 - lemon - H600×W200×D38mm
あおきさとこ 想像の旅 - lemon - H600×W200×D38mm
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dyeing series
2025
ミクストメディア
アクリル絵具、岩絵具、顔料、キャンバス
本作は「想像の旅」シリーズの一作であり、「gold」と対をなすように、上下端に青灰色地へ白・金の線描で草花や星座のような文様を配した帯を持つ、掛け軸を思わせる縦長の構成をとっている。中央の本紙にあたる部分は、爽やかなレモンイエローで満たされ、その中央には気球が浮かび上がるように描かれている。
気球の頭頂部は落ち着いたグレーに彩られ、本体は白を基調に、中央には濃い青緑色の帯が縦に走り、そこには白い矢羽根とオレンジの三角形が連なる文様が施されている。左右対称に配された黒と水色の葉状の装飾、下部の茶色い帆布部分、そして青と白のチェック模様のバスケット部分など、幾何学的な意匠が丁寧に積み重ねられている。気球からは細い糸が垂れ下がり、その先端には小さなカゴに乗った鳥が結ばれ、上部の帯の中にも一羽の鳥が線描で紛れ込んでいる。
タイトルの「lemon」は、本作を包むレモンイエローの背景そのものを指しており、「gold」の重厚で温かみのある金色に対して、こちらは軽やかで爽やかな印象を与える。同じ気球というモチーフでありながら、色彩の違いによって"想像の旅"の持つ質感が大きく変わることを示しており、「gold」が黄昏や豊かさを思わせるのに対し、「lemon」は晴れた日の高揚感や、みずみずしい旅立ちの気配を感じさせる。糸の先に結ばれた小さな鳥は、本作でも気球という大きな乗り物に対するささやかな案内人として、静かに旅路を見守っている。
作家ステートメントにある通り、本作もまた染色技法を用いずに、アクリル絵具と岩絵具、キャンバスによって染色特有の"ぼかし"や"絞り"、和の掛け軸を思わせる意匠を再現する試みの一つである。
【作家コメント】
元染色作家である あおきさとこによる、染色の「概念」に焦点をあてたシリーズ。それは「染めずに染色を表現する」という新しい試みである。
アクリル絵具にキャンバス地という絵画ではポピュラーな素材を用いて、染め特有のぼかしや絞りを再現し、和の風合いの掛け軸のようなデザインや色合いだったり、友禅染の細い線だったり、染めている時に感じた「染色の良さ」をふんだんに盛り込んだ作品である。
染色好きとしては、本物の染色品には敵わない部分もあるかもしれないが、染めずに染色を表現することで、染色品では課題であった「退色」を解決でき、染色の良さをより永く後世へ残していけるシリーズとなっている。このシリーズによって、少しでも染色に興味を持ってもらえるきっかけになったら嬉しい。
